シドニーの電車のスマホを利用した最新乗車システムってどんな感じ?
日本との違いって何?
こんな疑問に答えていきます。
ワーキングホリデーで2016年にシドニーに在住していた僕が解説していきます。
目次
1.概要
シドニーの電車について語ろうと思います。
一言で言うと、シドニーの電車は世界一厳しい、スマホがない奴は乗るなシステムです。
とにかく厳しいんです。
日本とはまったく違う部分が多いため、面白いです
では紹介していきます。
2.シドニーの電車が厳しい理由
2−1.スマホないと電車賃が支払えない
(1)券売機では現金は使えない
さて、いきなりですがここで問題です。
シドニーの券売機の写真を見てください。
(問題)下の写真の券売機でどうやって切符を買ったらいいでしょうか?
想像してみてください
みなさん、予想できましたか
では、正解はこちらです
(正解)
正解を写真にしてみました
交通費をチャージできる機械です
右側はカードオンリー。
左側はカードと現金に対応しています。
だたし、ここにも書いたように実質的には「現金は使えません」
何を言ってるわからねえと思うが、もう一度言うぜ…(ポルナレフ風)
現金使用可能と買いてありますが、現金は使用できません
ようするに釣り銭切れ(という設定)なんです
100%故意的です。
僕は10駅くらいの券売機を試しましたが、たとえ大きな駅でも釣り銭切れじゃなかった駅は1つもありませんでした。
つまり、「現金は使うな」という意味です。
ここまでいいですか?
(2)券売機の足元にはスマホ使えのメッセージ
券売機の足元に何か書いてありますね
拡大するとこちら
「スマホ持ってない奴は電車乗るんじゃねーよ」
と書いてあります
ちょっと言い過ぎましたw
「次回はスマホでアプリを立ち上げて、アプリ上で決済してくださいね」
と英語で書いてあります。
アプリでのチャージを即してくるなんて、ちょっと新鮮でビックリしました。
日本で同じことしたら、高齢者の方が混乱しそうですよね。
ただ、iPhoneを使った方がいいのは事実です。
切符の券売機は並んでいることも多いのです。
(3)スマホでチャージする画面はこんな感じ(すげえ簡単・iPhoneから5秒)
実際スマホでチャージすると、こんな感じです。
わかりやすいですね!!!
買った時に付属してたパスワードでアクティート。
iPhoneアプリをダウンロード。
Opalカードに書いてあるIDとカード裏面のパスワードを入力。
瞬時に登録され、そこでクレジットカードでチャージできます。
実際に僕もカードを買ったすぐ10分後に電車に乗らなければいけなかったのですが、すぐに簡単にできました。
アプリが美しくてシンプルでわかりやすい!
このアプリの特徴
- 最低40$からチャージ可能
- クレジットカードでチャージ可能
- 初回は駅の窓口でIDを見せてカード発行した
- 今までの履歴や割引キャンペーンがアプリ内で一目瞭然
- 乗り換え案内が光速
- GPS利用で始発駅記入不要
- アプリ上でIDとPASSでログインするだけ
- もちろんFelica機能()なんて必要ない
Opal公式サイト
https://www.opal.com.au
日本語の資料も載っていました。
日本の交通系電子マネーはiPhoneでチャージできないの??
ところで、日本の東京ではiPhoneからSuicaがチャージできないようですね
(この記事を書いいている2016年9月6日現在)
(Sonyの端末を買えばできるようですが…)びっくりしました…
マジで、なんで?技術大国日本が?
(ソニーがまた音楽配信の時のように制限してるのでしょうか)(画像)執筆時のiPhoneでSuicaアプリ
オーストラリアを体験してから見ると正直びっくりする…
かつてのLISMOという名前のガラパゴスに固執したソニーのサービスを思い出した(追記)iPhone7が発表
2016年9月7日にiPhone7が発表されました。
iPhone7からは、iPhoneでもSuicaがチャージできるようになったみたいですね
今さらかよっww、って言う…そもそも不思議なんですが、Felicaっていうのはなぜわざわざカードを端末でタッチする必要があるんでしょうか?
シドニーではカードの番号だけを入力してクラウド上で金銭を動かしているイメージです。
おそらくSuicaはカード自体に金銭情報が紐付いている気がします。
やはり人口が数千万人超えてきたりすると、そうせざるを得ないんでしょうか。どちらにせよ、日本だいぶ遅れてませんか…
シドニーが実現できている以上、セキュリティやコストの問題で言い訳しても苦しいと思うんですよね
(3)駅のポスターがさらに老害に追い打ちをかけるメッセージ
少年と老人が仲よさそうに、Opalカード対応の券売機を見ながら会話していますが…
「使い方わからない老害は電車乗らなくていいよ」(にっこり)
(この訳であってますよね?)
モデルが老人と子供なんですよ
「老人」と子供なんですよ…!!
さっすがオーストラリア
僕たちができないことをやってのけるぅ…しびれるぅ
(4)紙の切符は廃止されました
このポスターの通り、紙の切符は廃止されました
紙の切符の廃止に関しては、地デジ終了レベルで告知されていましたね
このように事前に通告告知していれば、さすがに大きく文句は言えないでしょうし、こういうやり方は日本も見習うべきかなと思います
日本でもこれを真似て、例えば「2018年からSuicaなどの電子マネー以外の紙の切符廃止します」とか銘打てばいいんじゃないですかね
みどりの窓口もいらねーだろ
余談ですが、みどりの窓口もいらないんじゃないですか
あの駅前の一等地のスペースをみどりの窓口として、切符販売に割いてるの明らかに経済損失ですよね
あそこのスペースをAmazonに貸し出してAmazonの荷物受け取りスペースにすればいいじゃないすか
コンビニで集荷するのやめてほしいし、一般輸送会社に頼んだら道路が混むじゃないですか、ただでさえ東京の渋滞やばいですからね
実際、台湾にはすでに駅ナカに冷蔵庫付きの荷物ロッカーができているみたいですねってか、そういうの政策で解決しろよ…
2−2.電車賃が高い気がする
(画像:https://tp.transportnsw.info/nsw/より)
(1)電車賃の単純比較
電車賃ですが、若干高い気がします
少し比べてみましょう
(東京)
中心部の東京駅から50分程度30kmの郊外の住宅地まで「550円」
(大宮から東京駅まで京浜東北線として想定、45分)
(シドニー)
中心部のCentral駅から50分程度30kmの郊外の住宅地まで「約270円」(3.37AUD)(HornsbyからCentralまでT1Lineとして想定、46分)
あれ…
あれ…東京の方が高い
あれ、おかしいな、オーストラリアの方が高いと思い込んでいたら電車に関しては日本の方が高いですね
大宮〜東京でも550円、柏〜東京でも550円しますね、思い込みだったかもしれません
(2)1週間に平日に8回以上利用すれば、9回目以降は無料
1週間(月曜日〜日曜日)に平日に8回以上利用すれば、9回目以降は無料です
これすごいですね
どういうことか伝わるでしょうか
月曜日に家から、学校まで往復する
火曜日、水曜日、木曜日も学校まで往復するとします
たいていみんな平日はこんな感じで使いますよね
この時点で4往復カウントされます
僕はバスと電車を両方使って市内まで通っていましたが、乗換えてもカウントが増えることはないですね
つまり同じ方向だと、それは同じ旅程とカウントされるようです
セントラルに行って、セントラルから帰ってくると2カウントになります
ということで、たいてい木曜日か金曜日あたりには、交通機関が無料になるので
やったーーー土日は買い物に行こう、遊びに行こう
となるわけです。
その分の経済効果が高いから成せる技なんでしょうかね
(追記)2016年9月よりルール変更
ただでさえ、ちょっと複雑なこのルールですが
前から噂されていた通り、2016年9月よりルールが変更されました
1週間の9回目利用以降が半額になるルールになったみたいですね
やっぱ無料だとunlimitedなだけにいろいろとやり放題された側面があったのかもしれませんね
(3)その他の割引制度
その他にもシドニーのOpalには割引施策があります
(こういう挑戦的なところ、日本も見習ってほしい)
- 1日のうちにバス電車など複数交通機関を利用した場合割引(2AUS〜)
- どんなにたくさん乗っても1日に15AUD、1週間に60AUD以上は加算されない(一般的なプランの場合)
- 乗り換え時に一度降りていても、60分以内であれば連続した旅程とみなされる
- 空港へのアクセスも1週間に25AUD以上は加算されない
(https://www.opal.com.au/en/about-opal/benefits-of-travelling-with-opal-card/)
たくさんありますね
書いてて思ったんですけど、プログラムで一括管理しているからこそ可能な施策ですね
切符で管理してたら、とてもじゃないけど管理しきれませんよね
こういった一面は本当に賢い、電子マネーの利点を活かしきっている、と感じます
2−3.路線がわかりにくい
(1)最終目的地が違う電車が同じ路線名を名乗っている
最終目的地が違う電車が同じ路線名を名乗っているんです。
これはですね、路線の写真をみていただければわかると思うんです。
形は東京に比べれば、いたってシンプルなんですが
T1ラインが複雑すぎる!
よく見てください
Central駅から、Epping駅に行くのもT1ラインです。
Central駅から、Hornsby駅に行くのもT1ラインです。
Central駅から、Chatswood駅に行くのもT1ラインです。
はい、東京で例えましょう
東京でもシドニー式で名付けてられていたとしたら、
池袋駅から、渋谷駅に行くのもT1ラインです。(本来は副都心線ですね)
池袋駅から、横浜駅に行くのもT1ラインです。(本来は東急東横線ですね)
池袋駅から、元町中華街駅に行くのもT1ラインです。(本来はみなとみらい線ですね)
という感じかな
つまり、同じ車両に乗っていても、最終目的地が違えば、路線名が変わる東京の電車に慣れていると、
最終目的地が違うのに同じように「T1ライン」と名乗られると混乱するんです!!
(あれ…俺だけ??)
ちょっと混乱してきましたね
とにかく…俺はこれで13回くらい乗り間違えましたwwww
もっと簡単にして(俺だけかもしれん)
(2)市内中心部をループしてから戻る電車に注意
これも注意ですよ
路線図見るとわかると思いますが、「山手線を少し走った後、また郊外に出戻りする」パターンの電車が多いです
なので、最終目的地が近いからと思って油断して乗ると、市内中心部を経由してから行くパターンで1時間以上かかったりしますからね
言い換えると、新宿から池袋に行きたいだけなのに、丸ノ内線に乗ってしまったパターンですね
(あれ…伝わる??)
2−4.スマホないとどれに乗れば良いかわからない(駅構内の案内が不親切すぎ)
(1)駅構内は広告が優先です
見てください、この綺麗なディスプレイ
こちらは改札内に多く見られる光景ですが、
このように綺麗なディスプレイが並んでいます
し、か、し、全部広告です
おおおおおおおおおおい、道案内図はどこにあるんだよ
(答)
道案内図はありません
スマホを見てください、以上
さすが、オーストラリア
(2)改札外に路線図が1つだけあります
このようにどこの駅にも改札外に路線図が1つだけあります
これを見て、自分は何番線に乗ればいいのかを覚えて唱えながら改札をくぐりましょうね
改札内に入ったら、案内板は一切ないのので、途中で転んで忘れてしまったら、改札外からもう一度やり直してください
すいません嘘です、さすがに言い過ぎました
スマホでGoogle MAPで調べれば大丈夫です
(電池切れたら大変だぞw)
駅構内でiPhoneの電池が切れると悲惨なことになる件
電池切れに関してですが、わりとマジで困ります
さすがに僕のように、駅構内でiPhoneの電池が切れて、モバイルバッテリーも切れて月に2回くらい迷子になっている方向音痴バカはいないかもしれませんが一応言っておきます
シドニーでiPhoneの電池切れると帰り辛くなることもあるので注意しましょうおいおいバカにするのもいい加減にしろよ…
と思った方もいると思いますが、改札外に出ていた案内板を見逃すと、改札内の看板を見て回っていくしかないんですが、大きな駅だと20番線まで路線があるんですね(笑)
ちょっと見て回るの疲れますよね、1kmくらいありますよ
あと、先程のように入り組んだ複雑なT1ラインなんかだと、どの番線のどこ行きに乗ればいいのかわからなかったりします
さらに一番危惧すべきは、あと何分で電車が来るかすぐにわからないということですね
もうひとつ言うと、改札内に売っている自販機はクソ高いということですね
加えて、コンビニも存在しない日曜日の夜、喉が乾いたけど自販機はクソ高くて、電車どれに乗ればいいのかわからない、とかいう時は、便利な日本に慣れ親しんでいる皆さんは発狂するかもしれないので注意してくださいね
(ビールなんて買えませんからね、コンビニもないです、漫画も買えないですよ)あれ…俺だけかな
だから、そう、SIMフリーのiPhoneとエネループ持って行きましょう、これがあれば大丈夫
(3)超不親切な液晶表示
Next trains to Central
セントラル行きの次の電車は何番線から出るかを示していますね
シンプルすぎる…
確かに何番線かわかればいいんだけどさあ…
(4)ホーム上の一番大事な液晶でさえ広告に変わる
ホーム上に唯一ある案内掲示の液晶ですが…なんと、
広告に変わるんです
恐ろしいものの片鱗をみたぜ…
もう一度言いますが、この写真のように、ホーム上にある案内の液晶掲示板でさえ、広告に変わるんです
これが資本主義か…
もはや急いでる時に、上を見上げても、まわりを見渡しても、その電車がどこ行きかもわかりません
表示されているのは広告だけ
大事なのはそう、広告、宣伝…そう、それがオーストラリア
だって資本主義だから
(5)車両の外側や、電車内に行き先表示がほとんどありません
これがシドニーの電車の車内の写真なのですが、この電車は新型なので、停車駅が「Wynard」と表示されていますね
しかし、新型車両にいつも乗れるとは限らないんですね
旧型車両には、車内表示がありません
電車に乗るときも、降りるときも、本当にこれで合っているのかドキドキします(ってか疲れる)
車内アナウンスはありますが、やけに丁寧すぎて停車駅を順番に言ってくれるために、注意してずっと聞いてないとわかりませんw
(自動音声の綺麗な英語のアナウンスです)
え、俺の英語力のせい?違うでしょ、車内アナウンスは日本で日本語でもほぼわからないぞ
(6)ホーム上には紙の案内図はほぼ存在しません
ホーム上には紙の案内図(ポスター)はほぼ存在しません
理由を考えたんですが、おそらくわざとですね
(理由1)更新するのに人件費がかかるから
(理由2)液晶広告の方が低コストで効果的な広告を打てるから
(理由3)ポスターが多いとごちゃごちゃして美しくないから
こんな感じじゃないでしょうか
その証拠にこんなポスターが貼ってありました。
"This poster can't update in real time. But your phone can”
日本語訳
「時刻表とか路線図調べたいなら、スマホ使えよ?何いちいちポスター見てるの?そんなの更新する人件費は無駄なの、駅員に質問とか論外だからな、スマホ使え、スマホ使えない老害は自己責任なんだよ」
というこんな感じでしょうか
can't updateって表現がすごいですね、can'tですよ
3.おまけ(その頃、日本では…)
おまけにこのシドニーの電車サービスの対比として、日本の東京メトロのポスターも貼っておきます
考え方が真逆ですね
日本は人件費という考え方が全く抜け落ちている気がします
働いている人の幸せも考えてほしい
ユーザーの工夫で、働く人も利用する人もみんな幸せになる(win-winの関係性)
それなら、みんながiPhoneを使う、使える社会にしていく方がいいと僕は思いますね。
駅員さんなどの人件費の面について、シドニーはとても節約できていると思います。
日本の駅員の負担は重いと予想します。
4.総括
想像以上に長くなりました。
電車だけでも、日本と比べてまったく違いますね。
たかが電車されど電車。
電車の違いにオーストラリアと日本の違いが現れている気がするんですよ
(表)シドニーと東京の電車の比較まとめ
(オーストラリア) |
(日本) |
|
---|---|---|
券売機での切符の買いやすさ | ||
電子マネーの入金方法 | ||
電子マネーのスマホアプリの使いやすさ | ||
電車賃の価格 | ||
電車賃の割引サービス | ||
路線のわかりやすさ (乗り換えのわかりやすさ) |
||
駅構内の案内のわかりやすさ | ||
電車内の案内のわかりやすさ |
表にまとめるとこのような感じですね
こうして整理して考えてみると、シドニーは不便さが目立ちます。
(どの電車に乗っていいかわかりにくい、すぐに切符が買えない)
しかし、それは僕が東京の便利さに慣れているからかもしれません。
オーストラリアは、人件費削減と自己責任文化でみんなが不自由なく暮らしている。
シドニーの方が、慣れれば便利かもしれません
(スマホさえ使えば電車の乗り換えや時間がわかりやすい)
(電車賃は、思うほど高くなかったですしむしろ、割引サービスが充実している)
何が大事と考えるかによって、電車に対する評価は変わってきますね。
そうやって考えると、シドニーの電車は最新技術を駆使し人件費削減や経済効果を優先した近未来型の交通システムと言えるのかもしれません
ぶっちゃけ僕はスマホの操作に抵抗もないし、割引サービスが多い方がいいので、シドニーの方がいい…かも
と思い始めました…
(この記事を書き始めたときはシドニーの電車が大嫌いでしたが)
みなさんはどう思うでしょうか